結論から。5回の転職で、年収は新卒時の450万円から1,100万円+社宅(年200万円相当)になりました。現金ベースで約2.4倍、実質ベースで約2.9倍です。
先に正直に言うと、この伸びのすべてが転職の成果ではありません。13年働けば転職しなくても年収は上がります。新卒で入ったSIerに残った場合の同年次の相場はおそらく700〜800万円。転職の寄与分は、ざっくり+500万円/年というのが僕の正直な見立てです。
この記事では、SIer→外資コンサル→大手事業会社の人事→大手ITと渡り歩いた僕の年収推移を、転職ごとの上げ幅・下げ幅込みですべて公開します。「転職すると年収が上がる」は半分本当で、半分嘘です。上がった転職と、額面は上がったのに実質下がった転職、両方経験したので、その違いも書きます。
5回の転職と年収推移(全記録)
| 時期 | 転職先 | 職種 | 年収 | 実質(社宅込み) |
|---|---|---|---|---|
| 2013年(新卒) | SIer | SAP人事システムのエンジニア | 450万円 | 450万円 |
| 2017年 | 外資系コンサル | SuccessFactors導入コンサル | 700万円 | 700万円 |
| 2018年 | 大手エネルギー会社 | 人事(制度・システムPMO) | 800万円 | 約1,000万円 |
| 2020年(転籍) | 経営統合先 | 人事システム統合 | 〜1,000万円 | 〜1,200万円 |
| 2025年 | 大手飲料グループ | DX部門(人事領域担当・システム刷新PM) | 1,050万円 | 1,050万円 |
| 2026年 | 大手電機メーカー | 人事(HR DX・スキルベース人材管理) | 1,100万円 | 約1,300万円 |
ポイントは「実質」の列です。社宅の有無で年200万円変わります。転職の損得は額面だけでは判断できません。これは後述します。
2017年 SIer→外資コンサル(450万→700万): スキルの「値札」が変わった転職
最初の転職が、率にすると最大の上げ幅でした(+250万円、+55%)。やっていることは同じSAP人事システムの仕事なのに、SIerとコンサルでは顧客に請求する単価がまるで違う。自分のスキルではなく、所属する業界の給与テーブルが年収を決めていると気づいた転職でした。
20代でコンサルを経験したのは、年収以上に「経歴の通行手形」として効きました。以後の転職で書類落ちがほぼなくなります。
2018年 コンサル→事業会社の人事(700万→800万+社宅): 経験を買った転職
コンサルから事業会社への転職は年収が下がるのが通説ですが、僕は額面+100万円に加えて社宅(年200万円相当)がつき、実質1,000万円ラインに乗りました。大手日系企業の福利厚生は求人票の額面に出てきません。ここを見落とすと転職の比較を間違えます。
それ以上に大きかったのは、SuccessFactorsを「導入する側」から「使う側」に回ったこと。人事制度とシステムの両方をPMOとして回した経験は、のちの市場価値の源泉になりました。
2020年 経営統合による転籍: 自分で選んでいない転職
会社の経営統合に伴う転籍で、これは自分の意思で選んだ転職ではありません。ただ、人事システムの統合や関係会社の規程審議という、平時なら絶対に経験できない仕事が回ってきました。在籍中に年収は1,000万円近くまで上がっています。
キャリアの節目は自分で選べるとは限らない。選べない転機を経験に変換できるかが分かれ目だと思っています。
2025年 人事→DX部門へ(1,050万円): 額面は上がったが実質は下がった転職
ここは正直に書きます。額面は1,050万円で過去最高でしたが、社宅を失ったので実質では約150万円のマイナスです。それでも行った理由は、総額50億円規模の人事システム刷新プロジェクトのPMという、市場に数えるほどしかないポジションだったから。実際、在籍中にサイバー攻撃からのシステム復旧という得がたい経験もしました。
人事とITの両方が分かる人材は本当に少ない。「人事×IT」の掛け算が、次の転職で最大の武器になります。
2026年 大手電機メーカーへ(1,100万+社宅): 掛け算スキルの回収
人事部門でHR DX(スキルベース人材管理の浸透)を担当するという、人事×ITのど真ん中のポジションで声がかかり、額面1,100万円+社宅で実質約1,300万円。前職で一時的に手放した福利厚生も回収しました。5回の転職はここまでで、新卒時から実質約2.9倍です。
上がる転職・上がらない転職の違い(5回やって分かったこと)
まとめると3つです。
1つ目、業界の給与テーブルを変える転職は必ず上がる。SIer→コンサルが典型で、同じスキルでも値札が変わります。
2つ目、経験を買う転職は一時的に下がっても回収できる。コンサル→事業会社、人事→情シスは目先の実質年収を犠牲にしましたが、どちらも次の転職で回収済みです。
3つ目、最終的に一番高く売れるのは「掛け算」のスキル。人事だけ、ITだけの人は大勢いますが、両方やった人は希少です。あなたの職歴にも、組み合わせると希少になる掛け算が眠っているはずです。
よくある質問
転職回数が多いと不利になりませんか?
5回転職した実感では、回数そのものより「一貫したストーリー」が問われます。面接で聞かれるのは回数ではなく理由です。僕は「人事×ITの専門性を深める」という軸で全転職を説明できるようにしています。
年収交渉は自分でやるべきですか?
エージェント経由が有利です。採用側の人事として交渉を受けた経験からも、本人が直接言うより角が立ちません。
30代後半でも年収は上がりますか?
僕の4回目・5回目の転職は35歳以降です。35歳限界説は、少なくとも専門性のある職種では実体験として嘘だと言えます。
まずは自分の「値札」を確認するところから
転職する気がなくても、スカウトサービスに職務経歴を置いて市場の反応を見るだけで、自分の現在の値札が分かります。僕もビズリーチのスカウトを眺めることから4回目の転職が始まりました。エージェントの活用法や各サービスの実体験レビューは、今後の記事で順次公開していきます。
(本記事の金額はすべて執筆時点の記憶に基づく概算です)

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