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人事システムの経験で転職活動を始めると、エージェントから求人が届くようになります。ところが面談まで進むと、想像していた仕事と違うことがよくあります。
担当者の理解不足として片づけられがちですが、原因はもっと手前にあります。求人票の段階で、必要な情報が落ちているからです。私は採用側で募集要項を作る立場にいたことがあり、いまは受ける側にいます。両方から見ると、どこで落ちるかが見えます。
「SuccessFactors経験者」という一行は、4つの別の仕事を指しうる
人事システムの求人でよく見る書き方です。ただしこの一行が指す仕事は、社内では次のように分かれています。
| 実際の仕事 | 求められるもの |
|---|---|
| 導入プロジェクトのPM | スケジュールと予算、ベンダーと現場の調整 |
| 要件定義・設計 | 人事制度を設定に落とす力 |
| 稼働後の運用保守 | 年次イベントと問い合わせ対応の回し方 |
| ベンダーコントロール | 契約と品質の管理、社内の意思決定を通す力 |
必要な経験はそれぞれ違います。導入をやってきた人が運用のポジションに入ると、最初の1年は年次イベントの暦を覚えることに使われます。逆もあります。
なぜ求人票に書かれないのか
採用側の作り方に理由があります。募集は多くの場合、現場が「人が足りない」と起票するところから始まります。そこに書かれるのは、担当している業務の一部と、欲しい経験の名前です。
それを人事が募集要項の形に整えます。このとき、社内でしか通じない言い方や、特定のモジュール名は削られます。読み手が社外だからです。削る作業のなかで、工程やモジュールの区別も一緒に落ちます。
もうひとつあります。着任後に何をさせるかが、募集の時点で固まっていない求人が一定数あります。人が採れてから配分を決める前提になっているものです。この場合、求人票が曖昧なのは書き方の問題ではなく、実態がそうだということになります。
エージェントは、求人票に無い情報を持っていない
エージェントは求人票の記載をもとに候補者を探します。求人票にモジュール名や工程の区別が無ければ、そこで絞ることはできません。結果として、人事システムという言葉が職務経歴書にある人へ広く声がかかります。
ずれた求人が届く原因を担当者の力量に求めても、この構造は変わりません。情報が元から無いので、聞き方を変えるほうが早いということになります。
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領域を絞って求人を扱っている窓口だと、求人票に書かれていない部分を採用担当に確認したうえで持ってくることがあります。届いた求人の精度が違う場合は、扱っている領域の差を見たほうがいいかもしれません。
面談で確認する4点
求人票で分からないことは、面談で埋めるしかありません。聞く内容を具体にすると、確認が通りやすくなります。
1つ目は、いま動いているモジュールと、次の12か月で触る予定のものです。ここが答えられるかどうかで、要件が固まっているかも分かります。
2つ目は、導入フェーズか運用フェーズかです。稼働中のシステムの保守要員なのか、これから入れるプロジェクトの要員なのかで、仕事の中身がまるで違います。
3つ目は、ベンダーとの契約形態と、社内側で意思決定をするのが誰かです。準委任か請負かで、社内側に求められる関与の深さが変わります。意思決定者が情報システム部門なのか人事部門なのかも、働き方に効きます。
4つ目は、前任者がいたかどうかです。増員なのか欠員補充なのか、欠員ならどこへ移ったのか。採用側にいた感覚では、これは説明される範囲の質問です。
「PMO」「PM」「導入担当」の書き分けは、会社ごとに違う
同じ言葉が別の仕事を指します。PMOと書いてあっても、実際には課題管理表の更新が中心の会社もあれば、ベンダーとの交渉まで含む会社もあります。
社内でも線引きが統一されていないことが多いので、職種名から仕事を推測するのは難しいところです。想定年収レンジと、意思決定を誰がするかを聞くほうが、実態に近づきます。
求人票から読み取れる、数少ないシグナル
それでも、求人票だけで見える手がかりはあります。
必須要件の数が多い求人は、要件が絞れていない可能性があります。欲しい経験を並べていくとこうなります。逆に必須要件が2つか3つに絞られている求人は、採用側で議論が済んでいることが多いように思います。
想定年収レンジの幅も手がかりです。幅が広い求人は、等級を着任後に決める前提のことがあります。この場合、提示額は面接での評価で動きます。
よくある質問
Q. 求人票にモジュール名が書かれていない求人は、避けたほうがいいですか
避ける理由にはなりません。書かれていないことと、決まっていないことは別です。面談で「いま動いているモジュールと、次の12か月で触る予定のもの」を聞けば、決まっているかどうかも同時に分かります。
Q. エージェントに「もっと詳しい情報はないか」と聞けば出てきますか
求人票に無い情報は、エージェントの手元にも無いことが多いです。ただし採用担当に確認してもらうことはできます。聞き方を「詳しく教えてください」ではなく「稼働中のモジュールはどれですか」と具体にすると、確認が通りやすくなります。
Q. 「PMO募集」と書かれていたら、PMの仕事はしないということですか
会社によります。PMOとPMの線引きは社内でも統一されていないことが多く、求人票の職種名だけでは判断できません。想定年収レンジと、意思決定を誰がするかを聞くほうが早く分かります。
Q. 前任者について聞くのは失礼になりませんか
採用側にいたときの感覚では、聞かれて困る質問ではありません。増員なのか欠員補充なのかは、募集の背景としてふつうに説明される範囲です。答えづらそうな反応が返ってきたこと自体が情報になります。
Q. 求人票だけで判断できることはありますか
必須要件の数と、想定年収レンジの幅は手がかりになります。必須要件が多すぎる求人は要件が絞れていない可能性があり、年収レンジの幅が広い求人は等級を着任後に決める前提のことがあります。
まとめ
人事システムの求人票から実態が読み取れないのは、採用側が募集要項を整える過程で工程やモジュールの区別が落ちるからです。着任後に配分を決める前提の求人もあります。
求人票に無い情報は、エージェントの手元にもありません。埋められるのは面談です。いま動いているモジュール、フェーズ、契約形態と意思決定者、前任者の有無。この4点を具体に聞くだけで、届いた求人が自分に合うかどうかの判断は変わります。


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