人事システム(HRテック)人材の市場価値が高い理由|人事×ITの掛け算キャリアという生存戦略

転職ノウハウ

結論から書くと、人事システム(HRテック)を扱える人材の市場価値は、いま転職市場で明確に高い状態にあります。理由はシンプルで、「人事業務が分かる人」と「ITが分かる人」はそれぞれ大勢いるのに、その両方が分かる人が圧倒的に足りないからです。僕自身、SAPのエンジニアからキャリアを始めて、コンサル、事業会社の人事、DX部門と渡り歩いてきましたが、年収が450万円から1,100万円+社宅まで上がった原動力は、一貫して「人事×IT」の掛け算でした。

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人事システム人材が希少になる「構造的な」理由

人事システム人材の希少性は、個人の能力の問題ではなく、組織の構造から生まれています。

多くの会社では、人事部門とIT部門は完全に別の世界です。人事はシステムに苦手意識のある人が多く、要件を言語化できない。一方でIT部門は給与計算や評価制度、労務管理といった人事業務の中身を知らないので、言われたものをそのまま作るしかない。この間に立てる人がいないまま、プロジェクトが迷走するのを僕は何度も見てきました。

しかも人事システムは、業務とシステムの結びつきが特に深い領域です。給与は1円間違えれば信頼問題になり、評価や異動の情報は最高レベルの機密です。「業務が分からないIT人材」では務まらない一方、「システムが分からない人事」では刷新プロジェクトを主導できない。この掛け算人材は、社内で自然には育ちません。人事は人事として、ITはITとして採用され育成されるからです。だからこそ、外部から採るしかなく、転職市場で高く評価されます。

需要は増え続けている:HRテック投資と刷新ラッシュ

供給が少ない一方で、需要はここ数年で明らかに増えています。

ジョブ型雇用への移行、人的資本開示の義務化、タレントマネジメントやスキルベース人材管理への注目。こうした流れはすべて「人事データを整備し、システムで扱えるようにする」ことが前提です。制度だけ作ってもシステムが追いつかなければ絵に描いた餅で、逆にシステムだけ入れても制度と運用が設計されていなければ使われません。

加えて、大企業では長年使ってきた人事給与システムの老朽化が進み、刷新プロジェクトが各社で走っています。僕は現在進行形でこの波の中にいて、大手企業で総額50億円規模の人事システム刷新プロジェクトのPMを担当しました。この規模の投資判断が人事領域で通る時代になった、ということ自体が需要の証明だと思っています。

僕の年収推移が「人事×IT」の価値を示している

抽象論だけだと説得力がないので、僕自身のキャリアを載せておきます。

2013年に新卒でSIerに入り、SAP HCMのエンジニア(ABAP)として年収450万円からスタート。2017年に外資コンサルへ移ってSuccessFactorsの導入コンサルになり700万円。2018年に大手エネルギー会社の人事に移り、制度とシステム統合のPMOで800万円+社宅。経営統合での転籍を経て1,000万円近くまで上がり、2025年には大手飲料グループのDX部門で人事システム刷新のPMとして1,050万円。2026年からは大手電機メーカーでHR DXを担当し、1,100万円+社宅です。詳細は年収推移を全公開した記事に書きました。

ポイントは、僕が「純粋なエンジニアとして」も「純粋な人事として」も突出していなかったことです。ABAPのコーディング力なら僕より上の人は山ほどいたし、労務や制度設計の専門性でも人事プロパーには敵いません。それでも年収が上がり続けたのは、両方の言葉を話せる人材が市場にほとんどいなかったからです。特にSuccessFactorsのような特定製品の経験は希少性に直結します。この点はSuccessFactors経験者の転職市場と年収相場で詳しく書いています。

市場価値を構成する3つのスキル

人事システム人材の価値は、分解すると3つのスキルで説明できます。

1つ目は「翻訳力」。人事の業務要件をシステムの言葉に、システムの制約を人事の言葉に変換する力です。要件定義の場で「それはこの製品では標準機能でできません。運用でカバーするなら…」と即座に代替案を出せるかどうかで、プロジェクトの成否が変わります。

2つ目はプロジェクトマネジメント。人事システムの導入・刷新は、ベンダー、IT部門、人事部門、経営と関係者が多く、利害がぶつかりやすいプロジェクトです。PMOやPMとして「決めるべきことを決めさせる」経験は、そのまま市場価値になります。

3つ目は製品知識。SuccessFactors、Workday、COMPANYなど、特定製品の導入経験者は常に足りていません。製品経験は求人要件に直接書かれるため、書類選考の通過率が目に見えて変わります。

この3つが揃っている必要はありません。僕の経験上、2つあれば十分に戦えますし、1つでも入口には立てます。

これから人事システム領域に入る2つのルート

今この領域にいない人が入るルートは、大きく2つあります。

IT側から入るルート。SIerやコンサルにいる人なら、HR領域の案件に手を挙げるのが最短です。社内異動やアサイン希望で製品経験を積んでから転職すれば、市場価値は大きく変わります。

人事側から入るルート。事業会社の人事にいる人は、システム導入や刷新プロジェクトが立ち上がったときに必ず手を挙げてください。「業務側の代表としてプロジェクトに入った経験」は、それ自体が転職市場で通用する実績になります。

どちらのルートでも、動くときはエージェント経由をおすすめします。この領域の求人は要件が細かく、書類の書き方ひとつで評価が変わるからです。エージェントとの付き合い方は採用側にいた人事が書いた5箇条にまとめています。

社内ルートを狙う場合、応募したことが上司にいつ伝わるのかは制度の型で決まります。動く前に社内公募は上司にいつ伝わるのかで自社がどの型かを確認しておくと、順番を間違えずに済みます。

次の一歩:自分の市場価値を確かめる

この記事を読んで「自分も当てはまるかも」と思った人は、まず求人を見て自分の現在地を確かめるのが一番早いです。僕の経験から、タイプ別に合いそうなサービスを挙げておきます。

業界を問わず幅広く人事システム関連の求人を見たい人には、求人数の多い大手としてリクルートエージェントが定番です。「人事システム」「HRテック」で検索するだけでも、市場の温度感がつかめます。

SAP HCMやSuccessFactorsの経験がある人なら、SAP領域に特化したSAPテンショクのような専門エージェントの方が、経験の価値を正しく評価してくれる可能性が高いです。

エンジニア側から人事システム領域を目指すなら、IT業界の求人を厚く持つギークリーが使いやすいです。人事システムのベンダーやSIer側のポジションも含めて、IT側の選択肢を一通り見ておくのに向いています。

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導入プロジェクトの実態はnoteにまとめています

市場価値の話とは別に、人事システムの導入現場で実際に何が起きるのか——データ移行で燃える理由や、SuccessFactorsを契約する前に知っておきたかったことを、発注側の立場からnoteで書いています。

→ noteで実務の詳細を公開しています

面接の場数を踏んでから本命に臨みたい人には、ITエンジニア専門のテックゴーという選択肢もあります。模擬面接の回数に上限がないため、技術の話はできても実績の言語化が苦手な人に向いています。

まとめ

人事システム人材の市場価値が高いのは、需要(HRテック投資・刷新ラッシュ)が増え続ける一方で、人事とITの両方が分かる人材が構造的に育ちにくいからです。翻訳力・プロジェクトマネジメント・製品知識の3つのうち2つあれば十分に戦えます。すでに片方の足場がある人は、もう片方に踏み出すだけで市場価値が大きく変わる。僕のキャリアはその実例です。

よくある質問

人事システムの経験がなくても、この領域に転職できますか?

できます。ただし「完全未経験」ではなく、人事業務かITのどちらかの経験を足場にするのが現実的です。人事にいる人はシステム導入プロジェクトへの参画経験を、IT側の人はHR領域の案件経験を作ってから動くと、選択肢が大きく広がります。

どのHRテック製品の経験が評価されますか?

大手企業向けではSuccessFactors、Workday、COMPANYなどの導入・運用経験が求人要件によく登場します。特定製品の深い経験は希少性に直結しますが、製品が違っても「人事業務とシステムの両方を分かって動いた経験」であれば評価されます。

人事システム人材の年収相場はどれくらいですか?

経験や役割によって幅がありますが、僕自身の経験では、事業会社側で制度・システムの両方を見るポジションで800万〜1,100万円のレンジを経験してきました。コンサルやPM経験が加わると、さらに上のレンジも狙えます。

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