中途入社1年目の評価はなぜ低くなるのか|実力ではなく、評価期間と分布の枠で決まっている部分の話

中途入社1年目の評価はなぜ低くなるのか エージェント活用術

中途で入った1年目の評価が、思っていたより低く出ることがあります。前職で高い評価を受けていた人ほど、この落差に戸惑います。

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ただ、この評価には実力とは別のところで決まっている部分が含まれています。評価期間と入社日のズレ、分布の枠、給与に届くまでの時間差の3つです。いずれも制度の設計と運用の話で、本人の成果とは独立に効きます。

人事側で評価制度の運用と、それを載せる人事システムの両方を見てきた立場から、中途入社1年目の評価が何で決まっているのかを分解します。

初回評価は、期の途中から始まっている

日本企業の人事評価の多くは、期首に目標を置いて期末に振り返る形をとっています。4月始まりの会社なら4月に目標を設定し、9月と3月に評価が確定します。

ここに9月入社で入ると、初回の評価期間は最初から半分しかありません。目標設定の場に居合わせていないため期首に置かれた目標は存在せず、入社後に暫定で置くことになります。評価の材料が、他の人と同じ量だけ揃っていない状態で最初の評価を迎えます。

この扱いをどうするかは、就業規則に書かれていないことがほとんどです。評価の運用要領や人事部内の運用メモに残っている種類の決めごとで、入社時のオリエンテーションで説明されることも多くありません。制度としては存在しているのに、本人からは見えない場所に置かれています。

分布の枠がある会社では、置き場所が先に決まる

評価を純粋な絶対評価で運用している会社は、実際には多くありません。部門ごとにSは5パーセント、Aは20パーセントといった分布率を割り当て、その枠に収める形をとる会社が広く残っています。

この運用では、評価会議は誰が優れているかを決める場ではなく、限られた枠を誰に配るかを決める場になります。枠が有限である以上、上位に置く人を決めることは、同時に他の誰かを中位以下に置くことを意味します。

中途入社者がここで置かれやすいのは中位です。理由は減点ではなく、判断材料の不足にあります。上位に置くには他の候補者を押し下げる説明が要りますが、在籍半年の実績でその説明を作るのは難しい。かといって下位に置く理由もない。結果として中位が選ばれます。

この構造には見落とされやすい裏面があります。材料が足りないことは、下振れの理由になりにくい一方で、上振れの理由にもなりません。期待どおりに働いた中途入社者が中位に置かれるのは、期待に届かなかったからではなく、上位へ押し上げる材料がまだ足りないからです。

評価が給与に届くまでには、時間差がある

評価が確定してから、それが月々の給与に乗るまでには工程があります。

工程 一般的な時期 中身
期末評価の確定 3〜4月 評価会議を経て最終のレーティングが決まる
昇給原資の配分 4〜5月 会社全体の原資を部門と等級へ割り振る
個人の昇給額の決定 5月前後 レーティングと現在の号俸から金額が決まる
給与への反映 4月または7月 会社差が大きい。7月反映で4月に遡って支給する運用もある

9月入社の人がこの流れに乗ると、最初に受けた評価が給与に反映されるのは翌年度です。入社してから、自分の働きが給与の数字として返ってくるまでに1年以上かかる会社は珍しくありません。

この時間差があるため、入社1年目には評価も上がらず給与も動かないと感じる期間が生まれます。初回から評価が付く会社であれば、評価そのものは確定していて、反映の順番待ちをしている状態です。ただし本人からは、評価が低いのか反映がまだなのかの区別がつきません。

ここまでの3つは、制度の側で決まっている部分です。働き方を変えても短期では動きません。動かせるのは残りの部分だけなので、1年目の評価をどう読むかを決める前に、いまの等級と条件が市場でどのあたりに位置するかを並べておくと、制度の話と実力の話を切り分けやすくなります。

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自分の会社が初回評価をどう扱っているか

期の途中に入った人の初回評価をどう扱うかは、会社ごとに大きく3つに分かれます。どれを採っているかで、受け取った数字の読み方が変わります。

1. 通期と同じ扱いにする

在籍期間の長短を考慮せず、他の社員と同じ評価軸に乗せる型です。運用は最も単純ですが、材料の少なさがそのまま評価に出ます。期の後半に入った人ほど不利になります。

2. 在籍月数で按分する

評価そのものは通常どおり付けたうえで、賞与や昇給への反映を在籍月数で割る型です。評価はBなのに賞与が少ない、という見え方をするのはこの型です。

3. 初回は評価対象から外す

基準日に在籍していない人を、その期の評価対象に含めない型です。初回の評価結果が存在しないため、実質的な初回評価は入社から1年近く後になります。

初回評価 賞与・昇給への反映 低い評価が意味すること
通期と同じ 付く そのまま反映 在籍期間の短さを含んだ数字
月数で按分 付く 在籍月数で割る 評価と金額を分けて読む必要がある
対象外 付かない なし(一律や暫定で処理) そもそも評価されていない

どの型かで、低い評価が何を意味するかが変わります。1の会社で低い評価が出たなら、それは在籍期間の短さを含んだ数字です。3の会社なら評価が付かないので、低いも高いもありません。

人事システムの側では、期の途中に入った人はこう数えられている

ここは制度ではなく実装の話です。評価をシステムで回している会社では、評価期間ごとに評価対象者リストを生成します。この生成条件に基準日が入ります。

基準日を期首に置けば期の途中の入社者はリストに載らず、期末に置けば載ります。どちらが正しいということはなく、制度側の決めごとをシステムの設定に写した結果です。

ズレが表面化するのは、制度側では按分して評価すると決めているのに、システムの基準日が期首のままになっている場合です。対象者リストに載らないため目標設定の依頼も評価の依頼も飛ばず、その期の評価が存在しないまま期が終わります。本人には、評価がなかったとしか見えません。

この不一致は、制度を変えた年や、システムを入れ替えた直後に起きやすくなります。導入時の設定は前の制度に合わせて作られているためです。人事システムのリプレイスに関わっていると、この種類のズレが移行後1年目にまとまって出てくるのを見ることになります。

本人の側から見分ける手がかりは1つあります。目標設定の依頼が来たかどうかです。依頼が来ていれば対象者に入っています。依頼が来ていないのに評価だけ後から付いたのなら、手作業で足された可能性が高く、材料の量は他の人と揃っていません。

低い評価を受け取ったときに、材料になる3つの事実

初回評価が按分か、通期か、対象外か

評価のフィードバック面談で、初回評価の扱いを聞けば分かります。人事制度の説明資料に書かれていることもあります。按分や対象外であれば、受け取った数字は他の人と同じ土俵の結果ではありません。

分布の枠があるか

分布率を社員に開示している会社と、していない会社があります。開示がなくても、部門内でSやAがどの程度出ているかが分かれば、枠の有無はおおよそ推測できます。枠がある会社では、中位は期待を下回った印ではありません。

昇給への反映がいつか

反映時期は給与規程に書かれています。次の昇給がいつ、どの評価に基づいて決まるのかが分かると、いま動かせるのはどの期の評価なのかがはっきりします。

この3つが分かると、受け取った評価のうちどこまでが制度の結果で、どこからが自分の成果への評価なのかを分けられます。分けたうえで残った部分が、次の期に動かせる範囲です。

本番になるのは2年目の評価

3つの要因のうち、中途入社であることに由来する部分は2年目には残りません。評価期間はまるごと在籍しており、目標も期首に置かれ、上位に置くかどうかを判断する材料も揃っています。分布の枠そのものは残りますが、材料が足りないという理由で中位に置かれることはなくなります。

したがって、実力の評価として読む価値があるのは2年目の結果のほうです。1年目の評価が低かったことだけを理由に判断を急ぐと、制度の結果を実力の結果として受け取ることになります。

逆に、2年目も同じ位置に置かれたなら、そこには制度以外の理由があります。求められている成果と出している成果がずれているのか、期待されている役割の水準が想定より高いのか。確かめる材料が揃うのは、この時点です。

まとめ

中途入社1年目の評価には、実力とは別の3つの要因が入り込みます。評価期間が半分しかないこと、分布の枠のなかで中位が選ばれやすいこと、そして評価が給与に届くまでに時間差があることです。

低い評価を受け取ったときにまず分けるべきなのは、この3つの分と、それ以外の分です。分けたあとに残った部分だけが、次の期に働きかけられる範囲になります。そして実力の評価として読む価値があるのは、中途入社に由来する要因が消える2年目の結果のほうです。

よくある質問

Q. 入社半年での評価が低いのは、試用期間の判断と関係しますか

別の制度です。試用期間の本採用可否は勤怠や適格性を見る手続きで、人事評価は担当業務の成果と行動を見る仕組みです。評価が中位や下位でも、それ自体が本採用の判断材料になる設計にはなっていないのが通常です。ただし両方の面談が近い時期に置かれる会社は多く、続けて受けると関連しているように見えます。

Q. 中途入社の初回評価は交渉できますか

確定した評価そのものを覆すのは難しいですが、扱いの確認はできます。初回が按分なのか通期なのか、目標設定がいつ行われたことになっているのかは、評価の前提に関わる事実です。前提が実態と違っている場合、次の期の目標設定でその点を織り込むことはできます。

Q. 評価が付かなかった場合、賞与はどうなりますか

会社によりますが、一律の係数を当てるか、暫定の評価を置いて計算する運用が一般的です。金額の根拠が評価ではないため、後から評価を持ち出しても金額は動きません。次の期に反映されるかどうかも会社の運用によって分かれます。

Q. オファー面談で聞いた年収と、初年度の実額が違うのはなぜですか

提示年収に賞与の標準額が含まれている場合、その賞与が在籍月数で按分されるためです。月給部分は提示どおりでも、初年度の合計額は提示を下回ります。2年目からは按分がなくなるため、提示に近づきます。

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